
素直な気持ち、言動が時に人を気づ付けることがわかる絵本。
さて、本日紹介する絵本は、「さっちゃんのまほうのて」。
読み終えたあなたの感情はどんな感情ですか?

失敗しない絵本選び
▼本日ご紹介の絵本はこちら▼

少し読書時間は長いけど、じっくりと子供と向き合って自分が主人公だったら、友人だったらどう思うか、どう行動するか、話し合いたい内容や。

このブログ記事を最後まで読むと、こんなことがわかります。
・「さっちゃんのまほうのて」ってどんな絵本?
・「さっちゃんのまほうのて」で何が学べるのか。
作品情報
作「たばた せいいち」
絵「たばた せいいち」
共同制作「たばたせいいち、先天性四肢障害児父母の会 のべあきこ、しざわさよこ」
出版社「偕成社」
発行日「1985年10月」
対象年齢「5・6歳から」
サイズ「27cm×19cm 40p」
読書時間「11分」
この絵本から何が学べるのか
・素直な気持ちが、時には人を傷つけること
・多様な社会を生きるということ
絵本のあらすじ
幼稚園のままごと遊びで、とってもお母さん役になりたかったさっちゃん。もうすぐ生まれてくる妹のことを考えると余計にお母さんになりたかったのです。
でも幼稚園のままごと遊びでは、いつもお母さん役をしているお友達に、
「さっちゃんはおかあさんにはなれないよ! だって手のないおかあさんなんて変だもん。」と言われてしまいます。
さっちゃんの右手には指がありません。さっちゃんは幼稚園を飛び出して家に戻り、なぜ自分の右手には指がないのか、お母さんに迫ります。
この作品は、童話作家である田畑精一さんと「先天性四肢障害児父母の会」、野辺明子さん、志沢小夜子さんの共同制作となっています。現実として先天性四肢障害に関わっている方々が作ったおはなしに、とても引き込まれます。

そして、物語に登場するすべての子供たちの考え、行動が素直なだけに突き刺さり、あらためて大人も考えさせられます。
指のない手を、「不思議な力をくれるまほうの手」と言ったさっちゃんのお父さん。その言葉でさっちゃんは辛い現実を乗り越えるきっかけを得ます。
言葉は不思議な力を持っていて、「まほうの手」と捉えてその言葉を常に口にすることで、自分と周囲の認識がポジティブに変わっていくのでしょう。

さっちゃんの元気で力強いキャラクターは、私たち大人にも元気を与えてくれます。

読んだ後、気持ちがスッキリする作品です。

すべての子どもと大人の方に読んで欲しい絵本です。
「さっちゃんのまほうのて」の見どころ
それではどういった絵本なのか作品に込められたメッセージをご紹介します。
①さっちゃんだって、お母さんやりたいもん
②まりちゃんとの喧嘩
③お母さんのお腹の中でけがをしたさっちゃん
④さっちゃんの手は魔法の手!
①さっちゃんだって、お母さんやりたいもん
さっちゃんは今日、幼稚園のままごと遊びで、とってもお母さん役になりたかったのです。
さっちゃんのお母さんのおなかには、じきに生まれてくる赤ちゃんがいます。
お母さんのおなかをそっとなでながら、さっちゃんもお母さんになる、と心に決めたのです。
でも幼稚園のままごと遊びでお母さんの役をやるのは、いつも背の高いみよちゃんか、まりちゃん。さっちゃんがお母さんの役をやりたいと言ったことで、大騒動になります。
②まりちゃんとの喧嘩
「さっちゃんはおかあさんにはなれないよ! だって手のないおかあさんなんて変だもん。」
とまりちゃんが言いました。
するとあきら君も
「俺、お父さんやーめた。」
さっちゃんは
「あたしだって、お母さんになれるよー!」
と叫びながら、まりちゃんに飛びかかります。まりちゃんも負けずに、さっちゃんの髪の毛を掴みます。
そこで、先生が間に入り止めます。
すると、
さっちゃんは、靴も履き替えず外に飛び出します。
③お母さんのお腹の中でけがをしたさっちゃん
心の中で「みんなみんな大嫌い」と叫びながら、車のクラクションも気にせず家まで走ります。
玄関に入り、驚くお母さんを前にして、息を切らしたままこう尋ねます。
「お母さん、さちこの手はどうしてみんなと違うの?どうしてみんなみたいに指がないの?」
さっちゃんの右手には5本の指がありません。
それを聞いたお母さんは、胸がいっぱいになります。黙ってさっちゃんを抱きしめます。
しばらくして、小さな声だけど真剣な声で言いました。
「さちこはね、お母さんのおなかのなかで、はじめは小さな命のつぶだったのね、命のつぶががだんだん大きくなって、手や足や心臓ができて人間のからだになっていったの、でもその時さちこはね、おなかのなかで怪我をしてしまって指だけどうしてもできなかったの。どうしておなかのなかで怪我なんかしてしまうのか、まだ、誰にもわからないの。」
「小学生になったらさちこの指はみんなみたいにはえてくる?」
お母さんをじっと見つめさっちゃんが聞きます。
お母さんはさっちゃんの手を優しく握り、とてもつらい気持ちでしたが思い切っていいました。
「さちこの手は小学生になっても今のままよ、ずっと今のまま。でもねさっちゃん、これがさちこの大事な手なんだから、お母さんの大好きな、さちこの可愛い、可愛い手なんだから」
さっちゃんの目にみるみる涙があふれ
「いやだ、いやだ、こんな手、嫌だ。」
お母さんにも、やっぱり、涙が溢れました。
その日さっちゃんは、本当にこの手だとお母さんになれないかもしれないと不安になり眠れませんでした。
その日以降さっちゃんは幼稚園へ行かなくなりました。
④さっちゃんのでは魔法の手だもん!
とうとうお母さんに、赤ちゃんが生まれました。
病院の帰り道、さっちゃんはお父さんと手を繋いで帰りました。
お父さんが言いました。
「こうしてさちこと手を繋いでいるととっても不思議な力が、さちこの手からやってきてお父さんの体いっぱいになるんだ、さちこの手は魔法の手だね」
その後、
さっちゃんの家に、あきらくんが心配してきてくれたり、幼稚園の先生がきてくれたりして、気持ちの変化から幼稚園に行くことになります。
幼稚園からこんな声が聞こえてきました。
「さっちゃんすべるなよー」
「さっちゃんおっこちないで!」
「へいき!だってさっちゃんの手は魔法の手だもん!」
まとめ

素直な気持ちが時に人を気づ付けてしまうこと、そしていかに自分を受け入れるか、自己同一性とは何か。
いかがでしたか、「さっちゃんのまほうのて」とっても素晴らしい絵本だと思います。こんなに感情が揺れ動く作品は、ぜひお子様と一緒に!
我が家も何度も読んでいます。
※作品のタイトル・作・絵・出版社以外は、あくまで私個人の感覚や感想をもとに記載しています。ぜひ、絵本をお手に取ってお確かめください。
大人がやりがちな見て見ぬふりではなく、こども達も様々なことについて、真剣に考え、生きる力を伸ばして欲しいと願います。失敗したっていいじゃない。ではまた。Reading is fun!

▼みんなの感想はここから確認してみテン▼
コメント